スーパーマーケットに勤めていた時代、棚卸しが苦行過ぎて嫌いだった鈴木です。
スーパーマーケットや家電量販店等に行くと貼り紙で「◯月◯日は棚卸しにつき◯時に閉店させていただきます」というのを見た事がある方もいらっしゃいますよね。
でも、この棚卸しってよく聞きますけど実際には何なの?と思っている方もいませんか?
中にはあるお店では棚卸しの日に行くといつもよりも安く購入出来る事もあります。また値引きの時間が早くなったり。
スーパーマーケット等で行われる棚卸しについて、どうして行うのか、どうして安く購入出来ることがあるのか、詳しく解説します。
棚卸しとは?在庫金額(資産)を把握するため
- 棚卸し(たなおろし)
- 店卸し(たなおろし)
小売店によって表記する漢字が違いますがやる事は同じです。
現在の在庫金額はいくらなのか正確に把握するために行います。
主に決算に備えて行うところが多いです。
というのも、お店の在庫というのはそのお店の資産です。資産がいくらなのか正確に把握しなければ決算が出来ないからです。
でも、きちんと入荷した在庫を管理していれば棚卸しなんて不要と思うかもしれませんね。
そういう訳にはいかないのが小売です。
万引や行方不明、破損する商品があるため、店卸しは必要
小売店ははっきり言えば万引きとの戦いです。
以前、小さい文房具屋が学校の近くにあり、その学校で万引きが流行ったために潰れてしまったところすらあります。
万引きする側は軽い気持ちでもお店にしてみればもう首をくくる・閉店するしか無い問題に発展してしまった例です。
毎日1~2万円しか売れない文房具屋で毎日5000円分万引きされたら利益なんて無いどころかマイナスです。1ヶ月で潰れます。
大手のスーパー等の小売店であれば毎日万引きは現れますので、それなりの被害はあります。
万引きがあれば正確な在庫金額はどんどん異なっていきます。
また万引きではなくても落として壊されてしまう事もあります。
最近は落として壊されたとしても悪意が無ければ弁償させる小売店も減っています。
でも、壊されて捨てるようになったらその分をきちんと経理上の処理をしておかないと在庫金額がズレてきますよね。
ついつい忙しくて処理をし忘れてしまう事も。
また試食もスーパーではよく行っています。
試食販売で使う分も店の在庫から行っている場合がほとんどですが、これもきちんと試食で使った分を経理上の処理をしなければ在庫金額がズレてしまいます。
試食販売で5個使ったのか6個使ったのか解らなくなってズレてきてしまう事も。
また通常価格298円の商品をセールで198円で販売した時に、差額は経理上の処理をしないと在庫金額が変わってきてしまいます。
他にもお客さんが最初は買おうと思っていたけど、他に良いものを見つけて元の場所に戻さず、適当に置いていってしまい行方不明になる商品があったりと、いろいろな理由で在庫金額は実際の帳簿上の金額と異なってきてしまいます。
- 万引のため、在庫金額が異なってくる
- 壊されたりして、在庫金額が異なってくる
- 商品が行方不明になってしまっている
- 廃棄処理する商品の経理上の処理を忘れげしまう
- 試食販売分の経理上処理を忘れてしまう
- セール時の差額の経理上処理を忘れてしまう
上記のことで、どうしても実際の商品数と帳簿上の商品数の差異を把握するため、棚卸しという事が必要になってきてます。
棚卸しは閉店後に行うのが一般的
棚卸しは営業時間中ではなく、閉店後に行うのが一般的です。
というのも在庫数は常に変化しているため正確な数字が解らなくなるからです。
だから、早めに閉店して棚卸しを閉店後に行うというところが多くなっています。
でも大手のスーパーなんて従業員だけで行っていたら終わらないため棚卸し専門の業者に委託して行っているところもあります。
大手スーパーと言えばイオンやイトーヨーカドー等を思い浮かべる方も多いと思いますが、両社とも専門の棚卸し業者に委託、もしくは半委託を行っています。
委託先は、AJIS(エイジス)という棚卸専門の会社があり、エイジスに委託していることが多くなっています。
イオンもイトーヨーカドーもローソンやファミリーマートもエイジスに委託しています。
参考リンク:株式会社エイジス
小さいスーパーだと従業員全員で行ったり、休日に従業員全員が出社して行うところもあったりします。
これは小売店によって変わってきます。
棚卸しの費用、エイジスの費用は細かいものはわかりませんが、契約でも異なってきますが、数えた点数プラス基本料金で決まるようです。
過去にあった棚卸しが原因の行政指導
大きな駅前にあることが多い某大手◯◯カメラとつく家電量販店は過去に棚卸しで行政指導を受けた事もあります。
理由はメーカーに半強制的に夜中に行う棚卸しを無償で手伝わせていたため。
販売力のある店が、棚卸し手伝いに来て!と言われて行かないでいると
あ、もうあなたのところの商品はあまり売らないようにしますね~
なんて事を言う事もあったらしく棚卸しの手伝いに行かないと売ってもらえないため、無償で手伝うしかない状況に。
さすがにこれはいけないと、行政指導が入った訳です。
実際に僕がパソコンショップで働いていた時、あるメーカーの営業さんがやけに棚卸しの日を聞いてくるものだから、なぜ棚卸しの日がそんなに気になるの聞いたら教えてもらいました。
この営業さん、当然のように棚卸しを手伝いに来るつもりだったとか。
丁寧に棚卸は自社で行うのでお手伝いは不要ですと、お伝えしました。
棚卸し前は生鮮食品を中心に安売りをすることが多い
棚卸し前に生鮮食品を中心に安売りをするスーパーが多くあります。
理由は簡単です。棚卸しの日に廃棄しないといけない在庫が残ると棚卸しが面倒だからです。
生鮮品にはよく100円引きとか3割引き等の割引シールが貼られていますよね。
あれはレジで割引になりますが棚卸しの時は本来、割り引いた価格で棚卸しをしないといけません。
だってその価格の価値しかその商品には無い訳ですから。
そうなると価格の変更を経理上の処理として行わないといけないため、面倒なんですよね。
だから無理やりにでも売ってしまいたい訳です。
だから棚卸しの日が近所のスーパーで解ったらその日の閉店間近に行くと翌日に売れない生鮮食品は半額のオンパレードなんて事もあったります。
結構狙い目です!
ただしイオンやイトーヨーカドー等の大手スーパーは最近は在庫を調整してあまり安売りをしないようになってきています。
小さなスーパーだと値下げシールで売り切ろうとしているところはまだまだありますよ。
スーパーの棚卸しの時期は?
棚卸しの時期はいつか?年に2回のところは基本的には決算の少し前が多かったのですが、最近は特に決まっていないことが増えてきています。
イオンやイトーヨーカドーは決算期前の1~2ヶ月前が多かったのですが、店舗数が増え、対応しきれないために、各店で時期をずらして行っています。
大手スーパーだと全国で何百店舗もあるので、毎月どこかの店舗で棚卸しが行われています。
小さいスーパーになると決算期の1ヶ月くらい前というところがまだまだ多くなっています。
決算期が多いのは2・3月/8・9月なので、その頃が狙い目です。
なお、商品の在庫金額が合わなくなるのは生鮮食品に多いため、生鮮食品のみ毎月棚卸しをしているスーパーマーケットもあります。
棚卸しセールを活用しよう
棚卸しセールを開催しているところも結構ありますよね。
なぜ棚卸しセールを実施するのか?と言えば生鮮食品のように売りきらないといけないから・・という理由ではありません。
小さいお店なら資金を調達するために行うと考えるのが一般的です。
お店は商品を仕入れて、販売して初めて利益が出ます。
でも在庫のままにしておくと利益が出ません。
利益が出なければ新しい商品も仕入れることが出来ません。
しばらく売れてない商品を中心に値引きしてでも販売して現金化し、新しい売れる商品を仕入れて販売した方が長期的には利益に結びつくため、資金調達のために不振在庫を中心に棚卸しセールを行う訳です。
そのため棚卸しセールは、食料品よりも衣料品・雑貨・暮らしの品(寝具・家具・食器等)で行うことが多くなっています。
食料品は元々、商品回転率が早いので、棚卸しセールを行う理由があまりありません。
棚卸しは本当に面倒
最後に小売に長く勤めていた立場から言うと本当に棚卸しは面倒でした。
入社当時は何でこんな面倒なことをしなくちゃいけないのか?とひたすら思っていました。
新入社員で入った当時は、棚卸しは店を休業日として朝から社員もパートさんも総出で行うという一大イベントで、それなりには楽しいものでしたが。
しかし時代の流れで先に紹介したエイジス等の棚卸し業者に委託するようになってきました。
でも棚卸し業者が当日に来て、在庫を数えることって結構難しいんですよ。
例えば家電売場ならモックというものがあるのですが、モックなのか商品なのか判断が付かない商品もあるので、モックなのか商品なのか棚卸し業者が分かるように事前に目印をつけないと行けなかったりする訳です。
例えばスマホはカラーバリエーションが3~5種類あることも多いですよね。
でも展示では1台のみ本物で他のカラーは外観だけの見本品ということがあります。これがモックです。
また
- 修理品で預かっているものか
- 予約品で代金をもらっているものかもらっていないものか
- メーカーから貸し出してもらっているものか
などなど、明確に区分しておかないといけません。
かなり神経を使う業務でした。
以上、棚卸しについてでした。
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